特別展「安岡章太郎展――〈私〉から〈歴史〉へ」

特別展「安岡章太郎展――〈私〉から〈歴史〉へ」

撮影=小澤忠恭  「安岡章太郎」文字デザイン=田村義也

本展は、安岡章太郎(1920~2013)の生涯と文学の軌跡を総合的にたどる初めての展覧会です。
安岡が作家を志した20歳のころ、日本はすでに戦時下でした。戦中戦後の長い混乱を経た1951年(昭和26)、安岡は「三田文学」に「ガラスの靴」を発表し、世の注目を集めます。以後、芥川賞受賞作「悪い仲間」「陰気な愉しみ」、母の死を題材として高い評価を得た「海辺の光景」などの小説のほか、ユーモアあふれるエッセイでも読者を魅了し、〈第三の新人〉の旗手として活躍しました。後年はその眼を過去へと向け、時代と人間の関わりを、緻密な検証に深い洞察を加えて描いた作品を執筆。特に父方の祖先の数奇な運命を辿った「流離譚」は、歴史のうねりの中に〈私〉の根源を探る「自己確認」の試みが豊かに実を結んだ大作です。
当館では本人、ご遺族から、原稿、書簡、書画などの関連資料を受贈し、〈安岡章太郎文庫〉として保存しています。本展ではこれらの資料を中心に、生涯、〈学校と軍隊と病院〉に象徴される近代社会における抑圧や束縛を嫌い、“劣等生” “ナマケモノ”を自称した小説家の実像を探りながら、幅広い創作スタイルと巧みな描写に支えられた安岡文学の魅力を紹介します。

【会期】
2016年(平成28)10月1日(土)~11月27日(日)
休館日は月曜日(10月10日は開館)
【開館時間】
午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
【会場】
神奈川近代文学館第2・3展示室
【観覧料】
一般600円(400円)、65歳以上/20歳未満及び学生300円(200円)、高校生100円、中学生以下無料
*(  )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は無料(詳しくはお問い合わせください)
※東日本大震災の罹災証明書、被災証明書等の提示で無料
【編集委員】
黒井千次
【主催】
県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
【後援】
NHK横浜放送局、FMヨコハマ、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
【協賛】
講談社、新潮社、京浜急行電鉄、相模鉄道、東京急行電鉄、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
【広報協力】
KAAT 神奈川芸術劇場

関連行事 ※行事についての詳細は、催し物のページをご覧ください。

対談

2016年10月30日(日)「安岡章太郎 ―その作家としての姿勢」 出演:小森陽一、リービ英雄
2016年11月5日(土)「作家の顔、父の顔 ―安岡章太郎の素顔」 出演:黒井千次、安岡治子

講演会

2016年11月23日(水・祝)「私の好きな安岡章太郎」 講師:中島京子

朗読とトーク

2016年10月1日(土)安岡章太郎作「質屋の女房」 出演:石倉三郎

ギャラリートーク

会期中の毎週金曜日 14:00~ 参加無料・申込不要(要展示観覧料)
会場=展示館1階エントランスホール

お問い合わせ

公益財団法人神奈川文学振興会
231-0862 横浜市中区山手町110 県立神奈川近代文学館内
TEL045-622-6666  FAX045-623-4841

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