スポット展示・収蔵コレクション展19
「生誕100年 金達寿展」
次回開催

「対馬から朝鮮半島を望む」 撮影・李進熙
金達寿(キム,タルス/キムダルス 1920~1997)は在日朝鮮人としての経験を核に、作品を通して人間とはなにか、どうあるべきかを問い続けた作家でした。
日韓併合下の朝鮮・慶尚南道(キヨンサンナムド)に生まれ、10歳で日本へと渡った金達寿は貧しい家計を助けながら文学を志し、戦後「玄海灘」「太白山脈」などを発表、在日朝鮮人作家の先駆けとして活躍します。また、戦中戦後の約10年間を横須賀に暮らした、神奈川に縁の深い作家でもあります。後半生では朝鮮と日本の関わりについて古代にさかのぼって追究、ライフワーク「日本の中の朝鮮文化」に結実させて行きました。
当館では、金達寿資料を2003年(平成15)に受贈し、「金達寿文庫」として保存してきました。2020年(令和2)が金達寿生誕100年にあたるのを機に、日本人と朝鮮人の相互理解を希求したその生涯と作品を「金達寿文庫」資料を中心に紹介します。
※同時開催=企画展・ 収蔵コレクション展20「生誕90年 三浦哲郎展―星をかたりて、たれをもうらまず―」→詳細
展覧会観覧の事前予約はこちらから
(感染予防対策を徹底するため、展覧会をご覧になる際には日時指定事前予約を必ずお願いいたします。)
- 【会期】
- 2021年5月22日(土)~7月18日(日)
※新型コロナウイルス感染拡大予防のため2020年12月12日(土)~2021年3月14日(日)の会期を再開催
休館日:月曜日(1月11日は開館)、12月28日(月)~1月4日(月) - 【開館時間】
- 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
- 【会場】
- 神奈川近代文学館第3展示室
- 【観覧料】
- 一般500円(350円)、65歳以上/20歳未満及び学生250円(200円)、高校生100円(100円)、中学生以下は無料
*( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者手帳、戦傷病者手帳の交付を受けている方は、手帳もしくは、ミライロIDの提示で無料(詳しくはお問い合わせください)にてご入場いただけます。事前の申請等は必要ありません。手帳の所持者及びその介助者(※2)の方は観覧料が無料となります。
※2 原則として手帳の所持者の介助者1名まで。ただし、手帳の所持者1名に対して2名以上介助者が必要な場合は事前にご相談ください。 - 【主催】
- 県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
- 【後援】
- NHK横浜放送局、FMヨコハマ、神奈川新聞社、tvk
- 【協賛】
- 横浜高速鉄道、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
- 【広報協力】
- KAAT 神奈川芸術劇場
*新型コロナウイルスの感染拡大状況により開催日時等を変更する場合があります。また、感染予防のためご来館の際にはマスクの着用などにご協力をお願いいたします。その他の注意事項はお知らせに掲載してあります。ご来館前に必ずご参照ください。詳しくはお問い合わせください。
展示資料紹介

横須賀の自宅で
1945年(昭和20)初夏
日本大学専門部を繰り上げ卒業になった金達寿は1942年1月に横須賀の神奈川日日新聞社(まもなく神奈川新聞社に統合)に入社。一時京城に渡り京城日報社に籍を置くが約1年で復社、1945年5月まで神奈川新聞社横須賀支社に記者として勤めた。当館蔵・金達寿文庫

「朴達(バクタリ)の裁判」原稿
「新日本文学」1958年11月号に掲載
「南部朝鮮K」で「朴達」と呼ばれる青年が権力に対して次々にしかけるユニークな抵抗闘争を軽快な筆致で描く。芥川賞候補となるが、賞の規定である「無名」「新進作家」にあたらないとして受賞には至らなかった。この原稿は、金達寿を新日本文学会会員に推薦した中野重治の没後、その書斎で見つかり22年ぶりに金達寿のもとに返されたもの。当館蔵・金達寿文庫

「太白山脈」創作メモ
「太白山脈」は、1945年8月15日の解放から1946年のゼネスト、10月抗争が起きるまでのソウル、慶州、大邱などを舞台にさまざまな立場で新たな朝鮮を生きる人々の葛藤を描く。太平洋戦争末期の朝鮮を描いた「玄海灘」の続編。さらに「洛東江」という続編を構想していたため1950年の朝鮮戦争についてのメモもあるが、作品とはならなかった。当館蔵・金達寿文庫

「日本のなかの朝鮮文化」を励ます会で
1973年2月
左から司馬遼太郎、岡本太郎、金達寿、竹内好。季刊誌「日本のなかの朝鮮文化」は、金達寿とともに日本の朝鮮遺跡を踏査した鄭貴文(チョンキムン)、詔文(ジョムン)兄弟がその紹介周知のため、1969年3月に創刊し1981年6月の50号まで刊行した。
関連行事 ※行事についての詳細は、催し物のページをご覧ください。
記念講演会
2021年3月14日(日) 「いま、新しく読む金達寿」 講師:黒川創 ※3月7日(日)を延期
記念上映会
2021年3月13日(土) 「神々の履歴書」(1988年/神々の履歴書製作委員会/140分/16ミリフィルム上映) 監督:前田憲二 ※2月20日(土)を延期
お問い合わせ
公益財団法人神奈川文学振興会
231-0862 横浜市中区山手町110 県立神奈川近代文学館内
TEL045-622-6666 FAX045-623-4841