太宰治展

太宰治展

写真・田村茂

太宰逝って、はや40年。時代は移ろい行く中で、その作品は永遠に若さを失わず、一層光芒を放ちながら、人生の苦悩を我々のこころに語りかけて来ます。独自の話法を持った文体を使って、昭和八年の登場から注目を浴びた彼は、昭和十年代には振興作家たちの旗手となり、戦時中には最後まで文学の砦を護って傑作を発表し続け、また戦後には無頼派作家の代表となって活躍しました。この時代の生み出した寵児は、社会への安住と日本的サロン文学を嫌悪し、三十九年の生涯を彷徨のうちに終えたのです。
本展は太宰治夫人津島美知子氏から日本近代文学館へ寄贈された「斜陽」「人間失格」など多数の自筆原稿、図書、雑誌を中心に、川端康成や師友への書簡、中高生の頃の日記・ノート、書画、遺品などの資料によって太宰治の生涯を綴りました。また中学時代からの友人であり、津軽の生んだ異色の画家である阿部合成の絵画も展示。さらに太宰出生の地であり、彼が終生愛した津軽を、その独自の文化と現在の姿とを織り込みながら展示紹介して、より深く太宰の人生と文学へ誘います。(奥野健男)

【会期】
1988年(昭和63年)4月23日(土)~5月29日(日)
【観覧料】
一般400円(280円)、学生200円(140円)*( )内は20名以上の団体料金
【編集委員】
奥野健男、小田切進
【編集協力】
野原一夫、野平健一、相馬正一
【主催】
県立神奈川近代文学館、財団法人神奈川文学振興会
【後援】
日本近代文学館


お問い合わせ

公益財団法人神奈川文学振興会
231-0862 横浜市中区山手町110 県立神奈川近代文学館内
TEL045-622-6666  FAX045-623-4841

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