特別展「〈新展示〉戦後の文学―新世代の登場まで」
敗戦後、国土の荒廃と混乱を背景に、太宰治や坂口安吾ら〈無頼派〉の作品が熱狂的に迎えられ、戦争体験を文学的基盤とする「近代文学」の人びとや、野間宏、大岡昇平、三島由紀夫など〈戦後派〉の登場が、新しい文学の出現を印象づけました。急速に復興した日本経済は、さらに生活様式や社会構造の変化をもたらし、文学も転換期を迎えます。安岡章太郎ら〈第三の新人〉たちに続いて、大江健三郎らの文学が脚光を浴び、女性作家も数多く登場してきます。マス・コミの発達に伴いエンターテインメントの文学も主要な位置を占めるようになり、1960年代以降には、ますます流動化する社会情勢に応じて、多様な主題や手法のなかに文学の現代性が模索されてきました。
本展では、戦後すでに50年という長い年月を経た今、これをひとつの区切りに、なお活躍中の作家の活動も含めて文学の流れを追います。太平洋戦争終了直後から中上健次、村上龍、村上春樹といった戦後生まれの作家たちが登場する1970年代までを対象に、各作家の代表作を中心に図書、雑誌、多数の原稿、自筆資料をまじえて、戦後の文学の歩みをご紹介します。
【会期】
1996年(平成8年)7月20日(土)~9月1日(日)
【観覧料】
大人350円(250円)、学生200円(150円)、65歳以上・高校生以下無料*( )内は20名以上の団体料金
【編集委員】
川西政明
【主催】
県立神奈川近代文学館、財団法人神奈川文学振興会
お問い合わせ
公益財団法人神奈川文学振興会
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