企画展「清岡卓行展――大連、パリ『円き広場』」
次回開催

写真右から時計回りに 清岡卓行 1959年8月 撮影・伊達得夫/パリ鳥瞰図(屏風)より 大佛次郎旧蔵 大佛次郎記念館蔵/大連大広場 『満洲風物写真帖』(1933年8月)より
日本の租借地だった中国・大連で生まれ育った詩人、作家の清岡卓行(きよおか・たかゆき 1922-2006)。1959年に詩集『氷つた焰』でデビューし、10年後に取り組んだ小説「アカシヤの大連」で芥川賞を受賞、以降は評論や随筆と併せて多彩な作品を生み出します。
その創作の大きな源となったのが、失われたふるさと、大連への思いです。東大在学時の帰省中に迎えた敗戦と3年間の残留、引き揚げ、そして無ー文からの生活再建……清岡はしだいに「大連と自分は結びついているという運命感」を深く意識するようになります。一方、64歳で初めて果たしたパリ訪問をきっかけに、両大戦間のこの街に花開いた芸術家たちの姿を描いた大作『マロニエの花が言った』(1999年)を上梓します。
本展では夫人の岩阪恵子氏(作家)から受贈した原稿をはじめとする資料を中心に、清岡がこよなく愛した二つの都市――「宿命の土地」大連と憧れの地パリとのかかわりを通して、その生涯と作品をたどります。
- 【会期】
- 2025年5月24日(土)~7月27日(日)
休館日:月曜日(7月21日は開館) - 【開館時間】
- 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
- 【会場】
- 神奈川近代文学館第2・3展示室
- 【観覧料】
- 一般500円(350円)、65歳以上・20歳未満及び学生250円(200円)、高校生100円(100円)、中学生以下は無料
*( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者手帳、戦傷病者手帳の交付を受けている方は、手帳もしくは、ミライロID の提示で無料(詳しくはお問い合わせください)にてご入場いただけます。事前の申請等は必要ありません。手帳の所持者及びその介助者(※2)の方は観覧料が無料となります。
※2原則として手帳の所持者の介助者1名まで。ただし、手帳の所持者1名に対して2名以上介助者が必要な場合は事前にご相談ください。 - 【主催】
- 県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
- 【後援】
- 日本現代詩人会、NHK横浜放送局、FMヨコハマ、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
- 【協賛】
- 講談社、思潮社、東急電鉄、横浜高速鉄道、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
- 【広報協力】
- KAAT 神奈川芸術劇場
展示資料紹介

「円き広場」詩稿
大連に帰郷した20歳の夏に作った詩。〈東洋のパリ〉を目指して整備された街の中心の円形広場を歩きながら、清岡は詩作への「精神的な目覚め」を感じたという。『円き広場』(1988年10月 思潮社)に収録。当館蔵・岩阪恵子氏寄贈(以下*)

『氷つた焰』
1959年2月 書肆ユリイカ
表紙画・岡鹿之助 装幀・沢田真知 当館蔵

清岡卓行 プロ野球公式試合終身入場パス
引き揚げ翌年の1949年に日本野球連盟(のちにセ・リーグ事務局へ移る)に就職した清岡は「猛打賞」を発案、試合日程の編成を13シーズン担当した。*

岡鹿之助画「段丘」
1978年 油彩・カンヴァス 1955年に岡と出逢った清岡は、その作品を深く愛し、遺作となった本作にちなんだ詩「段丘の空」を故人に捧げた。小説「マロニエの花が言った」の作中でも若き日の岡の姿を描いている。
個人蔵・群馬県立近代美術館寄託
本展関連イベント ※行事についての詳細は、 催し物のページをご覧ください。
※申込み方法、料金等は、「催し物」ページから各行事の詳細ページを開いてご確認ください→「催し物」ページ
記念対談
2025年6月21日(土) 「父のいるところ――『幼い夢と』と『其処』」 出演:清岡秀哉(清岡卓行末子、デザイナー、ギタリスト)、日和聡子(詩人、作家)
文芸映画を観る会
2025年7月19日(土) 「女だけの都」(1935年 フランス)
スライドトーク(職員による展示説明)
6月7日(土)、28日(土)、7月6日(日)、21日(月・祝) 各日14:00~ 参加無料(要展示観覧料)・申込不要
会場=展示館1階エントランスホール
機関紙168号
機関紙「神奈川近代文学館」168号(2025年4月1日発行)に本展への寄稿が掲載されています。
展覧会最終日の7月27日17:00まで当館公式noteで公開しています。
お問い合わせ
公益財団法人神奈川文学振興会
231-0862 横浜市中区山手町110 県立神奈川近代文学館内
TEL045-622-6666 FAX045-623-4841