企画展「中野孝次展-今ここに生きる」
本展は、12年間にわたり財団法人神奈川文学振興会理事長を務め、2004年(平成16)7月に逝去した作家・中野孝次の生涯を概観する展覧会です。中野は、青年時代に鎌倉や逗子に一時期住み、1972年(昭和47)以降の後半生は磯子区洋光台に居を構えた神奈川ゆかりの作家です。
1925年(大正14)1月、千葉県市川市に生まれた中野は、独学で熊本の旧制五高に進み、軍隊生活を挟んで、戦後、東大独文科を卒業しました。1952年から28年間、国学院大学で教鞭をとるかたわら、カフカ、ノサック、グラスなど現代ドイツ文学の翻訳紹介に努めました。1966年、同学在外研究員として1年間西欧諸国を旅した中野は、帰国後、日本の中世文学に傾倒し、1972年に初の著作『実朝考』を刊行、さらに滞欧時の絵画との出会いをもとに半生を検証した1976年のエッセイ『ブリューゲルへの旅』で独自の世界を確立しました。その後も自伝的小説『麦熟るる日に』、愛犬の回想記『ハラスのいた日々』、凛然と生きる文人を描いた『清貧の思想』など多彩な執筆活動を続けました。最期の著書『セネカ 現代人への手紙』まで、人生の真の幸福を追求した数々の著作には、現代日本人への警句と励ましとが満ちています。
会場では、受贈した中野孝次文庫資料を中心に、原稿、書簡、創作ノート、遺愛品など貴重資料によって、その79年の軌跡をたどります。
- 【会期】
- 2006年(平成18年)6月10日(土)~7月30日(日)
- 【観覧料】
- 一般400円(300円)、20歳未満及び学生200円(150円)、高校生以下・65歳以上無料*( )内は20名以上の団体料金
- 【主催】
- 県立神奈川近代文学館、財団法人神奈川文学振興会
- 【後援】
- NHK横浜放送局、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
- 【協賛】
- 岩波書店、海竜社、講談社、集英社、草思社、文藝春秋、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
お問い合わせ
公益財団法人神奈川文学振興会
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