企画展・収蔵コレクション展11「没後10年 中薗英助展 ―〈記録者〉の文学―」

撮影=秋山庄太郎 (c)秋山庄太郎写真芸術館
中薗英助(1920~2002)は、10代末から20代前半の青年期を中国・北京で過ごし、帰国後の1950年(昭和25)、「近代文学」に「烙印」を発表して作家生活に入りました。1960年代から70年代には「密書」「密航定期便」などの国際スパイ・ミステリーで注目されますが、一方で中国体験をモチーフに純文学作品を書き続け、41年ぶりの北京再訪を機に発表した連作小説集『北京飯店旧館にて』(1992〈平成4〉)では第44回読売文学賞を受賞しました。
そのほか、金大中拉致事件を扱い、2002年公開の映画「KT」原作となったドキュメンタリー・ノベル「拉致」(1983)や、東アジア全域を踏破した人類学者の評伝「鳥居龍蔵伝」(1995)など、多彩なジャンルにわたる作品の根底に一貫するのは、ひとりの〈記録者〉という立場から、虚実見分け難い歴史の闇を通して、人間の真実の姿を見届けようとする姿勢です。
没後10年を機に開催する本展は、生前の作家とご遺族から寄贈された「中薗英助文庫」の資料を軸に「歴史に空白あるべからず」の信念のもと中薗が追究し続けた広大な文学世界を紹介するものです。
*同時開催:新収蔵資料展 2011年度
- 【会期】
- 2012年(平成24年)3月3日(土)~4月22日(日)
- 【観覧料】
- 一般400円(300円)、65歳以上/20歳未満及び学生200円(150円)、高校生100円、中学生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金 - 【主催】
- 県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
- 【後援】
- 大倉山商店街振興組合、神奈川県日本中国友好協会、NHK横浜放送局、FMヨコハマ神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
- 【協賛】
- 東京急行電鉄、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
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