特別展「須賀敦子の世界展」

須賀敦子(1929~1998)は、1990年、61歳のときに『ミラノ 霧の風景』を刊行し、一躍注目を集めました。その後も『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』など、次々と珠玉のエッセイを発表します。生前刊行したエッセイ集はわずかに5冊ですが、29歳から13年過ごしたイタリアの風土やそこで出会った人びとを生き生きと描き、あるいは少女時代や、家族、読書などにまつわる記憶を織り重ねるようにして構築された世界は、その洗練された文章とともに多くの読者を魅了しました。
幼いころから本に親しみ、〈ものを書くひとになりたい〉という夢を抱き続けながらも、文学者として脚光を浴びるようになるまでの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。恵まれた幼少時代、戦時下の青春、留学、イタリアでの結婚生活、翻訳者としての活動など、作品の背景には、いつも「自分にあった靴」を追い求めてたどった須賀の起伏の多い人生が浮かび上がります。
作品のなかで須賀は、「書く」という行為を「私にとって息をするのと同じくらい大切なこと」と記しました。その思いが結実した作品群は、没後15年を経た今もなお読み継がれています。本展は、磨き抜かれた文章の魅力をさぐるとともに、須賀の生涯と文学を総合的に紹介する初めての展覧会です。
- 【会期】
- 2014年(平成26年)10月4日(土)~11月24日(月・振休)
- 【観覧料】
- 一般600円(400円)、65歳以上/20歳未満及び学生300円(200円)、高校生100円、中学生以下無料
*( )内は20名以上の団体料金 - 【編集委員】
- 湯川豊
- 【主催】
- 県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
- 【協力】
- イタリア文化会館、河出書房新社
- 【後援】
- イタリア大使館、NHK横浜放送局、FMヨコハマ、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
- 【協賛】
- 新潮社、白水社、文藝春秋、京浜急行電鉄、相模鉄道、東京急行電鉄、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
- 【広報協力】
- KAAT 神奈川芸術劇場
お問い合わせ
公益財団法人神奈川文学振興会
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