常設展「文学の森へ 神奈川と作家たち」
第3部 太宰治、三島由紀夫から現代まで
敗戦直後の混沌を象徴する太宰治の死に始まり、戦後の繁栄と平和のなか自らの虚無に殉じた三島由紀夫、そして戦後という時代をエネルギッシュに駆けぬけた開高健まで、9人の作家を紹介します。また最後のコーナー「現代を表現する-湘南、ヨコハマ、そして郊外」では、石原慎太郎、村上龍ら6人の現代作家が、同時代の神奈川を描いた作品にもスポットを当てます。
*企画展と同時開催の時には、展示しない作家・作品があります。
展示紹介(リーフレットより) *は当館所蔵資料
作家と神奈川との主な関連事項、ゆかりの作品
作家名 | 関連事項 | ゆかり作品 |
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太宰 治 | 戦前、鎌倉で自殺未遂。終戦後、小田原郊外・下曽我(「斜陽」の舞台のモデル)に滞在。 | 「葉」「道化の華」「虚構の春」「東京八景」「右大臣実朝」「斜陽」「人間失格」 |
坂口安吾 | 三十代半ば、小田原を放浪。 | 「イノチガケ」「真珠」 |
島尾敏雄 | 横浜に生まれ、同地で幼少期を送る。晩年、茅ケ崎に居住。 | 『幼年記』「格子の眼」「魚雷艇学生」 |
大岡昇平 | 戦前、鎌倉に下宿。戦後、鎌倉、大磯に住む。 | 「俘虜記」「武蔵野夫人」「野火」「花影」「事件」「レイテ戦記」 |
安部公房 | 晩年、元箱根の山荘を仕事場とする。 | 「方舟さくら丸」「カンガルー・ノート」「飛ぶ男」 |
三島由紀夫 | 戦時下、勤労動員で高座海軍工廠の寮に入る。戦後、箱根に新婚旅行。 | 「午後の曳航」「豊饒の海」 |
澁澤龍彦 | 終戦後、鎌倉に移り終生住む。墓所は鎌倉・浄智寺。 | 「サド復活」「唐草物語」「きらら姫」「高丘親王航海記」 |
山本周五郎 | 幼少期と後半生を横浜に送り、本牧の仕事場で死去。鎌倉霊園に眠る。 | 「樅ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「五辨の椿」「青べか物語」「季節のない街」「さぶ」 |
開高 健 | 四十代半ばで茅ケ崎に移転、終生住む。墓所は鎌倉・円覚寺松嶺院。 | 「オーパ!」「耳の物語」「珠玉」 |
石原慎太郎 | 少年時代から三十代まで逗子に住む。 | 「太陽の季節」「狂った果実」「わが人生の時の時」「弟」 |
庄野潤三 | 川崎郊外に居住。 | 「夕べの雲」「絵合せ」「明夫と良二」 |
五木寛之 | 横浜に居住。 | 「海を見ていたジョニー」「凍河」 |
村上 龍 | 横浜郊外に住み、箱根に別荘を持つ。 | 「コインロッカー・ベイビーズ」「テニスボーイの憂鬱」「五分後の世界」「希望の国のエクソダス」 |
島田雅彦 | 4歳から川崎郊外で育ち以降も居住。 | 「優しいサヨクのための嬉遊曲」「忘れられた帝国」「子どもを救え!」 |
柳 美里 | 横浜で生まれ育つ。鎌倉に一時居住。 | 「フルハウス」「水辺のゆりかご」「ゴールドラッシュ」「交換日記」 |